各業界でDX(デジタル・トランスフォーメーション)が進む今、企業のIT戦略はこれまで以上に重要な役割をもつようになっています。しかし、まだDXに取り組めていないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、企業のIT戦略として2025年に注目すべき最新のITトレンド5選と、それに対する企業が取るべきアクションについて詳しく解説します。最新のトレンドをしっかりと捉えて、自社に最適な施策がないかチェックしてみてください。
目次
企業にとってIT戦略が必要な理由
IT化が進んでいる現代では、業種を問わず、すべての企業でIT戦略を取り入れることが欠かせなくなっているのをご存じでしょうか。
まず、ビジネスのIT化が進んでいる昨今では、次のような効果をもたらすITツール等の導入の有無が、企業運営に大きな影響を与えます。
- 業務の効率化
- コスト削減
- 顧客体験の向上
例えば、製造業におけるIoT技術の導入では、リアルタイムでの生産ライン監視が可能となり、品質管理やダウンタイムの削減を実現できるようになりました。また、小売業では、AIを活用した顧客予測システムを導入したことで、商品在庫管理の精度が向上し、売上の最大化に成功しています。
このように企業がIT戦略に取り組む今、従来の働き方のまま何もせずにいると、競合他社から差をつけられてしまうかもしれません。そのため、現代のビジネス対応を実現するためにも、IT戦略について理解し、最適な施策を打ち出すことが重要です。
IT戦略の最新トレンドを掴むべき理由
IT戦略の取り組みをスタートする際には、可能な限り最新のトレンド(流行)をおさえることが重要です。以下にトレンドをリサーチすべき理由をまとめました。
- 急速に変化しているトレンドを掴める
- 新技術を取り込むことで他社との差別化が可能となる
- 市場の変化に迅速な対応できるようになる
例えば、何物も信用せずに安全性の検証を実施する考えである「ゼロトラストセキュリティ」のIT戦略を打ち出す企業などは、セキュリティリスクの大幅な低減や、業界での信頼性向上を実現できます。
また、取得したデータをもとに持続的な柔軟経営を実施する「データドリブン経営」を進めることで、効率的に顧客ニーズを把握し、サービス向上へつなげることも可能です。
上記の動き方は、最新のトレンドを掴んでいなければ検討できません。競争優位性を確保するためにも、ぜひ後述する注目トレンドをチェックしてみてください。
IT戦略の注目トレンド5選
「最新のIT戦略を取り入れたい」と検討中の企業向けに、2025年最新のIT戦略トレンドを5つ紹介します。
なかでも生成AIやクラウドネイティブなどのテクノロジーは、企業が市場で生き残るために欠かせない要素です。ぜひIT戦略を立てる参考にしてみてください。
【注目トレンド1】生成AIの業務実装が本格化
生成AIは、AI技術を活用して「コンテンツ生成」「カスタマーサポート」「製品設計」などを実施できる強力なツールです。以下に主な生成AIツールまとめました。
【文章生成・分析】
- ChatGPT
- Claude
- Gemini
【画像生成】
- Adobe Firefly
- Stable Diffusion
- Midjourney
例えば、AIによる文章生成ツールを使えば、マーケティングコンテンツを迅速に作成することが可能となり、リソースの最適化を図れるようになります。顧客対応の効率化や自動化が可能となるため、人的リソースに問題を抱えている企業におすすめです。
【注目トレンド2】クラウドネイティブの再構築
クラウドネイティブとは、最初からクラウドでアプリケーションを実行したり、ソフトウェアを開発したりすることを前提とした考え方のことです。例えば、次のようなツールがクラウドネイティブに該当します。
- AWS
- GCP
柔軟で拡張性のあるシステムを構築できるほか、急速に変化する市場に対応しつつ、することが可能となるのが魅力です。システムの更新や新機能の追加を迅速に行えるようになるほか、市場の変化に即座に対応できるようになることから、コスト面の改善および企業競争力の向上を期待できます。
【注目トレンド3】サイバーセキュリティのゼロトラスト化
ゼロトラスト化とは、企業のネットワークに対するアクセス制御を強化し、セキュリティリスクを最小限に抑えるアプローチのことです。以下のように、外部対策・内部対策の両方に強みがあります。
- 外部からの「サイバー攻撃」
- 内部からの「データ漏洩リスク」
IT戦略を検討する際には、ネットワークや人的な問題によって起こるセキュリティリスクの解消が必要不可欠です。従業員や外部パートナーからの不正アクセスを防ぐためにも、ほかのトレンドともに実施したい施策だと言えます。
【注目トレンド4】データ駆動経営の推進
データ駆動(ドリブン)経営は、リアルタイムで取得していくデータ分析を活用し、企業は市場の動向や顧客のニーズを即座に把握する経営手法です。
データ分析ツールを使って実施するのが基本であり、顧客行動を分析し、売上やマーケティング戦略を改善するための具体的なインサイトを得て、新たな動き方を決めていきます。
例えば、小売業では顧客の購買履歴データを分析し、顧客ごとにパーソナライズされた広告やプロモーションを提供するといった施策の実行が可能です。企業経営の意思決定を正確に行うためにも、BtoB・BtoCを問わず、欠かせないIT戦略だと言えるでしょう。
【注目トレンド5】ハイブリッドワーク対応のDX基盤
ハイブリッドワークとは、リモートワークとオフィス勤務の両方に対応できる働き方のことです。
企業のIT化に伴い、誰もが好きな場所で自由に働ける環境ができました。
そのため、従業員一人ひとりがもつライフスタイルに合う働き方を提供できるよう、オンラインでのコラボレーションツールやファイル共有システムを活用するといった方法で、ハイブリッドワークに対応した業務体制をつくることが、現在多くの企業で求められています。
IT戦略トレンドに対する企業の対応例
IT戦略を取り入れると言っても、すべてをいきなり導入することは簡単ではありません。
そのため、計画的かつ確実に最新のIT戦略トレンドに対応するためにも、短期的および中長期的な施策を講じる必要があります。参考として以下では、短期的・中長期的に取り組める戦略・施策をまとめました。
短期的に取り組むべき施策一覧
短期的に取り組める施策は、以下のようなものがあります。
- 生成AIの導入
→簡単に導入可能なAIツールを活用し、カスタマーサポートや営業活動を効率化 - クラウドサービスの利用
→既存業務システムをクラウド化し、コスト削減とスケーラビリティを向上
迅速に効果を上げるためには、現場で即実行可能な施策に取り組むことが重要です。上記2つは既存の働き方を変えずに導入できるほか、短期間での改善が期待できます。
中長期的に見直すべきIT戦略一覧
中長期的なIT戦略としては、企業のIT戦略を再評価し、次のような戦略的な見直しが求められます。
- データ駆動経営の推進
→データ分析基盤の整備を進め、組織全体でデータによる意思決定を実施 - ゼロトラストセキュリティの全面導入
→セキュリティ体制を強化し、全社的なゼロトラストモデルを導入 - ハイブリッドワーク対応
→クラウド対応ツールを段階的に導入してテレワークの対応を進行
長期的な成長を実現するためには、IT戦略を定期的に見直し、最新の技術や市場の動向に応じて柔軟に対応することが重要です。「○年以内に○○を導入する」というように、段階的なステップアップを目指しましょう。
まとめ
2025年のIT戦略における重要なトレンドをしっかりと把握しておけば、それにもとづいた戦略を取ることが可能となります。
競争優位性を高め、持続可能な成長を実現するためにも、この機会に紹介したトレンドのなかから導入できそうなものを検討してみてはいかがでしょうか。