PoC(概念実証)とは?ビジネスで試作検討を行うメリットを簡単に紹介

2024.05.22
カテゴリー:開発

 

ビジネスを成功へ導くために、PcC(概念実証)にチャレンジしたいと考えていないでしょうか。しかし、具体的に何をやればよいのかわからない方もいらっしゃるはずです。

 

この記事では、PcC(概念実証)の概要や実施するメリット、デメリットについてわかりやすく解説しています。また、大手企業が実施している実証事例もまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。

 

PoCとは?読み方も解説

 

PoCとは、ビジネスのアイデアや新技術の活用について、本当に自社で実現可能なのか実証するプロセスのことです。正式名称を「Proof of Concept」と言い、よくピーオーシーという名称で呼ばれています。

 

例えば、発案されたアイデアをいきなり本格的に実施するのではなく、事前に試作品等を作成したうえで、スモールビジネスとして有効性を検討するのが特徴です。効果のあるアイデアなのかを必要最小限の費用で実証できるため、大きな失敗を減らしながら新しいビジネスにチャレンジできます。

 

PoC・実証実験・プロトタイプの違い

PoCと似た言葉に「実証実験」「プロトタイプ」という言葉があります。

 

まず実証実験は、PcCで成功した後に実施する実験のことです。試作品である程度効果が出た後に規模を大きくし、現実的に運用できるサービス・製品なのかを実験していきます。イメージとしては最終テストのようなものです。

 

次にプロトタイプとは、PoCの実証のために用意する試作品のことを指します。スモールビジネスとして始められる程度に作り上げられたサービス・製品のテスト版という認識です。

 

2つの用語は、それぞれPoCと近い位置にあるキーワードです。PoCによるビジネスの試作検討を実施する際によく登場するため、違いを抑えたうえでPoCに取り組みましょう。

 

PoCを実施する3つのメリット

 

PoCによる実証をおこなうメリットを3つまとめました。なぜ、最初から本格的なビジネスを実施せず、事前にPoCをおこなうべきなのか詳しく紹介します。

 

①無駄なコスト・工数を削減できる

PoCを実施すれば、試作段階でビジネスの問題点・改善点を発見し、無駄なコストや工数を削減できるのがメリットです。例えば、アイデアを最初から本格的なビジネスとして運用してしまうと、失敗した際の被害が大きくなってしまいます。

 

一方で、PoCによる試作段階のテストを実施すれば、無駄な投資やリスクを回避できるのがポイントです。限られたリソースの中で自社に最適なサービス・製品を探し出せるため、成功しやすいビジネスをスタートしやすくなります。

 

②プロジェクトのリスクを抑えられる

PoCとして試作段階のテストを実施すれば、ビジネスの成功可能性を事前に見きわめられるのがメリットです。

 

例えば、複数のビジネスアイデアがあり、どれも同じように社内で高い評価を得ているとしましょう。しかし、すべてのビジネスが必ず成功するとは限りません。中には、本格的に運用を開始したけれど、ユーザーの反響を得られなかったという状況に陥る恐れもあるでしょう。

 

対して、PcCによる実証テストを実施しておけば、本当に反響のあるビジネスがどれなのかを絞ったうえで本格的な導入へと進めます。プロジェクトを立ち上げるリスク、そしてそのぶろじぇくとに集まった人たちを無駄にするというリスクを回避できるのがPoCのメリットです。

 

③意思決定を効率化できる

PoCを実施すれば、根拠に基づく意思決定ができるようになるメリットです。

 

例えば、企画段階の状況だと判断できない情報を可視化できるのはもちろん、経営陣に最終判断を仰ぐ際の根拠づけとしてPoCの実証結果が役立ちます。ビジネスプロセスを成功へ導くためには、段階を踏みながら業務をスタートすることが重要です。

 

PoCの実施がその足掛かりとなるほか、緻密な検討を経て、成功しやすいプロジェクトをつくり出せます。

 

PoCを実施するデメリットは「コスト」

 

PoCはより良いビジネスを作り出すために重要な実証テストですが、実証するためのコストがかかるというデメリットを抱えています。参考として、具体的なコスト情報を以下にまとめました。

 

  • 実証にかかる時間のコスト
  • 実証用の試作品を準備・運用する費用のコスト
  • 実証に関わる人材のリソースコスト

 

以上より、PoCは多方面のコストを理解したうえで実施すべきビジネス検証です。事前に予算の確保や人材の確保が必要になると覚えておきましょう。

 

PcCの実施事例

PoCの実証は、すでに国内企業の多くが実施しています。参考として、大手企業等が実施したPoCの事例を5つ紹介します。

 

①SoftBank|BOLDLY(自動運転バス)

出典:SoftBank「BOLDLY」

 

BOLDLYとは、SoftBankが提供している自動運転バスのことです。AIやリモートセンシング技術を活用して、無人走行を実施しています。

 

ただ、最初から自動運転バスが導入されたわけではありません。事前に度重なるPoCが実施され、安全に人々を送り届けられるのかを実証したうえでサービスがスタートしました。2024年1月時点では、国内6か所でBOLDLYが運行されています。

 

②農林水産省|スマート農業

出典:農林水産省「スマート農業」

 

PoCの実証は、農林水産省でも実施されています。中でも有名なのが、無人もしくは遠隔操作で農業を実施する「スマート農業」です。

 

AIやリモートセンシング技術はもちろん、画像認識といった実証が何年も実施され、さまざまな農業重機が開発されています。農林水産省の公式サイトには実証報告が掲載されているので、ぜひチェックしてみてください。

 

③防災科学技術研究所|防災チャットボット

出典:防災科学技術研究所「実証実験報告資料」

 

頻発する災害への対策として、防災科学技術研究所では、地域の情報を読み込ませた「防災チャットボット」のPoCを実施しています。

 

一般の方たちはチャットボットを活用して安否確認や避難場所の情報を入手でき、市職員などは調査結果をチャットボットに報告することによって、地域の必要な情報が蓄積されていきます。

 

防災チャットボットの開発は5ヵ年計画が予定されており、現在もPoCを実施中です。

 

④TOYOTA|スマートシティ

 

世界的にも大規模な事業を展開しているTOYOTAでは、実証都市「ウーブン・シティ」を静岡県に開発し、実証テストをおこなっています。

 

IoTやAI技術を使った未来都市としての実証がおこなわれており、すでに2,000人の方たちが生活しています。生活する人々の動きやデータ収集を活用し、未来都市を実現できるのか、日々テストされています。

 

⑤東芝テック|無人店舗

出典:東芝テック「無人決済店舗システム」

 

東芝テックでは、店舗省力化、コスト縮減のために無人店舗の運営の実証テストをおこなっています。小型のコンビニを国内の複数箇所に設置し、無人決済システムを使って店舗を利用できます。

 

手に取った品をもとに自動決済が開始するため、レジの手間をかけずに買い物できる環境を実証テストされています。

 

おわりに

この記事では、PoCの概要や実施するメリット・デメリット、そして国内で実施されている実証内容を紹介しました。

 

PoCはビジネスをスタートし成功へ導くために必要なテストです。ビジネスアイデアを形にしたい、本当にうまくいくかテストしたいと検討しているのなら、まずはPoCからスタートしてみるのはいかがでしょうか。

 

SOFTASIAでは、PoCによる開発テストをご提供しています。自社でPoCを実施するリソースがないとお悩みなら、ぜひお問い合わせください。