
Pythonでデータ分析を始めた人が必ず直面する課題のひとつが、「matplotlibでグラフを描いてみたけれど、どうも見た目がイマイチ…」という悩みです。
- デフォルトのデザインが地味すぎる
- 色やフォントが洗練されていない
- 他の人が作ったグラフのようにセンス良く仕上がらない
このような悩みを抱えている方が意外と多くいるのです。
matplotlibは少しの工夫で、「プロっぽい」「レポート映えする」「プレゼンで説得力が増す」グラフに変身させることができます。この記事では、matplotlibを使った映えるグラフの作り方を徹底解説します。Python初心者から、研究・ビジネスでグラフを活用したい方まで役立つ内容となりますので、最後までご覧ください。
目次
matplotlibの基本

まずは基本的なコードを確認しましょう。
import matplotlib.pyplot as plt
x = [1, 2, 3, 4]
y = [10, 20, 25, 30]
plt.plot(x, y)
plt.show()
これで折れ線グラフが描けますが、見た目はシンプルすぎて情報量も少なく、プレゼンやレポートに載せるには物足りません。ここから「映えるグラフ」へステップアップしていきます。
スタイルシートで一気に垢抜ける

matplotlibにはスタイルシートという便利な仕組みがあります。これを使うだけで、グラフの雰囲気が劇的に変わります。
おすすめスタイル3選
- seaborn系plt.style.use(“seaborn-v0_8-colorblind”)
柔らかい色合いと視認性の高さが魅力的で初心者にもおすすめです。
- ggplotplt.style.use(“ggplot”)
Rのggplot2に近いデザインで統計系の研究者に人気があります。
- fivethirtyeightplt.style.use(“fivethirtyeight”)
米国ニュースサイトのような太字で力強いデザインでプレゼン資料にも映えます。
スタイルを変えるだけで「素人っぽさ」が消え、洗練された印象になるのでおすすめです。
カラーパレットを統一する

グラフの印象を決める最大要素は色です。
定番の指定方法
plt.plot(x, y, color=”#1f77b4″) # Hexカラー
迷ったときのカラーパレット選び
- 調和の取れた色 → seaborn.color_palette()
- 高級感を出す → グレー+アクセントカラー1色
- レポート向け → 視認性の高い落ち着いた色
例:
import seaborn as sns
colors = sns.color_palette(“deep”)
plt.plot(x, y, color=colors[0])
色を統一するだけで「プロ感」がぐっと増します。
余白・フォント・軸ラベルを整える

見やすさを左右するのは、余白やフォント設定です。
タイトル・軸ラベルのサイズ
plt.title(“売上の推移”, fontsize=16)
plt.xlabel(“月”, fontsize=12)
plt.ylabel(“売上額”, fontsize=12)
余白調整
plt.tight_layout()
日本語フォント設定
plt.rcParams[“font.family”] = “IPAexGothic”
これで文字化けを防ぎ、読みやすさが格段に向上します。
実例で学ぶ映えるグラフの描き方

ここからは、実際のコード例を使いながら「見やすく」「伝わる」グラフを作るためのテクニックを解説します。matplotlib は標準で多彩な表現ができますが、ちょっとした工夫を加えるだけで一気にイケてる印象に変わります。
シンプルで見やすい折れ線グラフ
まずは最も基本となる折れ線グラフの改善例です。
plt.style.use(“seaborn-v0_8-colorblind”)
months = [“1月”, “2月”, “3月”, “4月”]
sales = [100, 130, 120, 150]
plt.plot(months, sales, linewidth=3, marker=”o”)
plt.title(“月別売上推移”, fontsize=18)
plt.xlabel(“月”, fontsize=12)
plt.ylabel(“売上(万円)”, fontsize=12)
plt.grid(alpha=0.3)
plt.tight_layout()
plt.show()
このグラフは、売上の推移をシンプルかつ見やすく表現しています。ポイントは次の3つです。
・線の太さを揃えて視認性を高める
折れ線は細すぎると見づらく、太すぎると主張が強すぎます。linewidth=3 はバランスがよくおすすめです。
・マーカーを付けて変化点を強調
marker=”0″を使うことで、各データ点が視覚的に分かりやすくなります。折れ線グラフの読み取りがスムーズになります。
・グリッドは薄めの設定で上品に
alpha=0.3のように透明度を調整すると、グリッドが主張しすぎず背景として機能します。上品でプロっぽい仕上がりになります。
視認性の高い棒グラフ
次に、売上などの比較に適した棒グラフの改善例です。
plt.bar(months, sales, color=”#4c72b0″)
棒グラフはただ描くだけでも十分に伝わりますが、色の選び方が重要です。以下の点を意識しましょう。
原色を避け、落ち着いた色を選ぶ
棒グラフは面積が大きいため、原色を使うと非常に強烈な印象になり、情報より色が目立ってしまいます。上記コードでは #4c72b0のように少し落ち着いた青系カラーを使用し、プロフェッショナルな雰囲気に仕上げています。
レポート映えする箱ひげ図
データの分布を分かりやすく示す「箱ひげ図」も、スタイルを整えることで一気に見やすくなります。
plt.boxplot(data, patch_artist=True,
boxprops=dict(facecolor=”#66c2a5″))
デフォルトの箱ひげ図は白黒で味気ない印象になりがちですが、patch_artist=Trueを使って箱の背景に色を付けるだけで見た目が大きく改善します。
・箱に色を付けることで美しい視覚表現に
色を付けることで分布が直感的に把握しやすくなり、資料やレポートでも映えるグラフになります。
映えるグラフを作るためのデザイン5原則

グラフの見た目は、読み手の理解スピードを大きく左右します。特に、ビジネス資料やデータ分析の共有では、情報を正しく・美しく伝えることが重要です。ここでは、誰でも簡単に実践できる映えるグラフを作るための5つのデザイン原則を紹介します。
色は3色以内に統一する
色数が多いと視線が散り、何を伝えたいのか分かりにくくなります。メイン、アクセント、背景の3色に抑えることで、統一感のある洗練されたグラフになります。
フォントサイズは一貫性を保つ
タイトル、軸ラベル、凡例などの文字サイズがバラバラだとプロ感が薄れます。基本ルールを決めて統一すると、見やすさが格段に向上します。
グリッドは薄めに設定する(alpha調整)
グリッドの主張が強すぎると、データよりも線が目立ってしまいます。alpha=0.2〜0.4程度にして背景として控えめに表示するのがポイントです。
ラベルや凡例は必ず付ける
どの線や棒が何を意味しているのか一目で分かるようにするのは基本です。シンプルなグラフほど、ラベルの丁寧さが効果を発揮します。
一目で「伝えたいこと」が分かる構成にする
グラフを見た瞬間に 増えているのか、減っているのか、比較がどうなのかを理解できるかが最重要です。余計な装飾を削り、メッセージ性を高める構成を意識しましょう。
この5つを守るだけで、グラフの完成度は驚くほど向上します。データ分析初心者でも、すぐに「プロっぽい」仕上がりを実現できます。
まとめ
matplotlibは、最初はとっつきにくく感じるかもしれません。実際にはちょっとした工夫や設定を加えるだけで、レポートやプレゼンでも自信を持って使えるプロ品質のグラフを作り出せる非常に強力なライブラリです。
グラフは、ただデータを表示するためのものではありません。データの本質を伝えるための表現技術です。見た目が美しくなるほど、データそのものの説得力も高まり、読み手に与える印象も大きく変わります。ぜひこの記事で紹介したテクニックを参考にしながら、あなた自身の映える可視化スタイルを作り上げてみてください。
