
AIを活用して業務効率化を図りたいけれど、セキュリティの関係上、他社サービスのクラウドサーバーに接続して利用するのは避けたいという人も多いでしょう。それなら、ローカル環境で利用できるローカルLLMを利用するのがおすすめです。
この記事では、ローカルLLMの概要や、利用するメリット・デメリットについて解説します。ローカルLLMでできることも紹介しているので、導入する参考にしてみてください。
目次
ローカルLLMとは

ローカルLLMとは、次のようなローカル環境を利用してオフライン上でAI機能を利用できる言語モデルのことです。
- 個人PC上
- 会社のサーバー
通常、AIサービスはインターネットを経由して利用しなければなりませんが、機密性の高い情報をネット経由で送受信することを避けたい人も少なくありません。そこで役立つのが、自社内だけでデータのやり取りができるローカルLLMです。
例えば「顧客の個人情報などを読み込ませたい場合」「山奥などの通信環境が整っていない場所で利用したい場合」など、セキュリティリスクや現場状況に合わせたAI活用を考えている個人・企業に最適な言語モデルです。
ローカルLLMとクラウドLLMの違い
前述したローカルLLMとは別に、クラウドLLMという言語モデルも存在します。以下に、2つのLLMの違いをまとめました。
| ローカルLLM | クラウドLLM | |
| ネット環境 | 不要 | 必要 |
| プライバシー保護 | 可能 | サービスに依存する |
| カスタマイズ性 | 自社用に調整できる | サービスに依存する |
まずクラウドLLMは、一般的なAIサービスです。Webブラウザやアプリを通じてサービス提供元のサーバーにアクセスしてAI機能を活用します。
一方で、ローカルLLMは自社サーバーやPC上にあるAIを活用します。外部にデータを経由する必要がないため、機密性の高いデータを保護しやすいのが魅力です。
代表的なローカルLLM

ローカルLLMに興味があるものの、どのようなサービスを利用すべきかわからないとお悩みの人も多いでしょう。参考として以下に、代表的なローカルLLMの種類をまとめました。
- Llama:Meta社提供であり、後述する派生モデルのベースとなっている
- ELYZA LLM for JP:ELIZA社提供であり、日本語への対応に優れる
- Swallow LLM:東京科学大学提供であり、研究や商業目的の機能がある
- Gemma2:Google提供であり、軽量かつ高性能なオープンソースとして使える
基本的には、Meta社が提供しているLlamaをベースとしたローカルLLMが多い一方で、Googleでは独自が所有する膨大な情報をもとに、Gemma2という新たなローカルLLMをつくり出しました。
オープンソースで利用できるローカルLLMも多いため、ぜひ個人用・自社用に導入を検討してみてください。
ローカルLLMでできること

ローカルLLMでは、一般的なクラウドLLMと同じようにAIに指示を出して特定の回答を得たり、分析をさせたりできるのが特徴です。そのなかでも、よく使われている作業などをできることとして整理しました。
文書の作成
ローカルLLMに必要な情報を与えて指示を出せば、文章をきれいにまとめてくれます。
例えば、インタビューの文字起こしデータがあれば、要点をまとめて説明してくれたり、指示した構成にあわせて文章のアイデアを出してくれるのが特徴です。また、業務として必要な資料を作成してくれるなど、文章の作成に強いのがローカルLLMです。
社内学習AIの作成
ローカルLLMに社内で共有している研修資料や、顧客対応のマニュアルを読み込ませれば、社内学習に使えるAIをつくり出すことも可能です。
例えば、導入したローカルLLMに「〇〇の作業はどうしたらいい?」と質問することで、必要な作業を回答してくれるようにカスタマイズできます。また、新人研修用の資料を作成するように指示を出したり、AIが出題した問題に対し新入社員が回答して、合否を出す仕組みをつくり出すこともできるでしょう。
コミュニケーションツール
ローカルLLMは、業務をそばでサポートするコミュニケーションツールとしても役立ちます。
例えば、自分が作業している間に作成してほしい情報の指示を出すなど、まるでひとりの部下とやり取りをするような使い方が可能です。また、雑談なども可能であり、AIの性格や喋り方などを指定することによって、特定のキャラクターをつくり出して文章上で会話をすることもできるでしょう。
電子カルテの生成
佐賀県にある織田病院では、ローカルLLMを活用して自動電子カルテを生成しようと動き始めています。
これはローカルLLMが医師の声を認識できるように設定することで、伝えた情報を自動で整理してカルテにまとめてくれるという便利な仕組みです。オフラインで利用するためプライバシー保護が必要な患者の情報も取り扱えるのが魅力です。
ローカルLLMのメリット

ローカルLLMを導入することにより、時間のかかる人力での対応を大きく改善できます。以下より、具体的なメリットをまとめました。
インターネット接続不要で使える
ローカルLLMはインターネット接続が不要であるため、改善の状況などに処理速度が左右されません。インターネットを通じて外部からデータを抜き取られる心配もないため、インターネットセキュリティが厳しい企業でも導入しやすいのが魅力です。
用途に合わせてカスタマイズできる
ローカルLLMは、利用するユーザーに合わせて使い方を構築できるのがメリットです。「資料を作成させる」「データを分析させる」「画像や図を作成させる」など、幅広い用途で使用できます。
セキュリティ性に優れる
ローカルLLMはオフライン上で利用するAIサービスであるため、ネット経由で攻撃される「マルウェア攻撃」「DDos攻撃」などを回避しやすいのがメリットです。自社サーバーやPC上で利用することから、セキュリティに厳しい会社でも導入しやすいでしょう。
コストパフォーマンスに優れる
ローカルLLMはオープンソースで提供されているサービスもあることから、低コストでAI機能の活用をスタートできます。AIを活用したいものの、予算の関係で費用を捻出できないという場合にはローカルLLMの利用からスタートするのが良いかもしれません。
ローカルLLMのデメリット

メリットの多いローカルLLMですが、2つのデメリットがある点に注意しなければなりません。
専門の技術人材が必要になる
ローカルLLMを利用する際には、次のような専門知識が必要です。
- モデルの選択
- ファインチューニング・RAG
- パフォーマンス最適化
- 機械学習
また、AIを利用するためのカスタマイズに詳しい人材でなければ、イメージする作業を実現しにくい点に注意しなければなりません。
ハイスペックなパソコンが必要になる
ローカルLLMの能力を最大限に利用したいなら、大量のデータを迅速に処理できる計算能力を備えたGPUやハードウェアが必要です。
低スペックのパソコンやサーバーでは処理が遅くなることから、ハイスペックパソコンや、ハイグレードなサーバーの導入が必要になるかもしれません。
おわりに
ローカルLLMの概要からメリット・デメリット、具体的な活用例までを解説してきました。ローカルLLMは、セキュリティを確保しながらAIを活用したい企業にとって、有力な選択肢のひとつです。
一方で、導入や運用には専門知識や適切な設計が求められるため、「どのモデルを選べばいいのか」「自社環境でどこまで実現できるのか」といった判断に悩むケースも少なくありません。
重要なのは、自社の目的や課題に合わせて、ローカルLLMを“どう活用するか”を具体的に設計することです。適切に導入できれば、セキュリティを担保しながら業務効率化やナレッジ活用を大きく前進させることができます。
ローカルLLMの導入やAI活用についてお悩みの方は、ぜひ3inkまでお気軽にお問い合わせください。現状の課題や環境に合わせて、最適な構成や活用方法をご提案いたします。
